現代演劇研究会による研究著書

会の起源と現在
現代演劇研究会はおよそ60年程前、1950年代にお二人の研究者で明治大学名誉教授‐‐‐イギリス演劇の来住正三氏とアメリカ演劇の坂本和男氏(お二人は残念ながら昨年時期を同じくして81歳で亡くなられました)‐‐‐によって創設されました。このお二人は中学からの同級生であり、同じく東京大学に学び、後に偶然明治大学で教鞭をとることになった方々です。お二人の下に他大学の英米演劇研究者たちが集い、研究会が結成され、会のメンバーによる作家・作品研究、戯曲や研究書翻訳、海外演劇事情等を盛り込んだ雑誌『現代演劇』が南雲堂書店から出版され、好評のうちに20号まで続きました。
その後、新メンバーを加えながら、英米作家の特集号『現代演劇』が英潮社フェニックスから出版され、すでに19冊となっています。
第19号『オーガスト・ウィルソン&スーザン=ロリ・パークス』は、本年2011年3月31日に出版され、第20号『パム・ジェムズ&サラ・ダニエルズ』は来春出版予定です。
その他、会ではこれまでに『現代英米の劇作家たち』(英潮社)や『イギリス・アメリカ演劇事典』(新水社)等の出版も行ってきました。  現在研究会では、過去20年間(1990年〜2010年)のアメリカ、トニー賞、ビューリッツァ賞受賞作品を取り上げ、作品の背景となる世界情勢やアメリカ社会の動きと作品との関連を探ることを目的に例会を行っています。この研究成果は来春、単行本として出版を予定しています。
研究会では来日した海外の演劇作家や研究者との会合、観劇会、日本で手に入りにくい映画の上映会等も企画してきましたが、月一回の例会ではリポーターを中心に肩の凝らない討論でメンバーが言いたいことを自由に言うことのできる楽しい場となっています。例会の後の食事会では、討論の続きがもっとリラックスした雰囲気で継続されたり、様々な情報や四方山話がつきず、ここで会による出版や新しい方向性が話し合われることもあります。
親友であられた創始者お二人の意を受けて、演劇に興味を持つ人々が集い、自由に語り合うことで、様々な物の見方を学び、研究成果を出版物として残していく場として、今後とも新しいメンバーを加えつつ、会が充実発展してゆくことを大いに期待したいと思います。(2011.4.11)